廃棄されるCFRP
岐阜大学複合材料研究センターの研究グループは、2015年10月15日、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のリサイクル技術、「二段階熱処理法」を確立し、世界最大のCFRPリサイクル施設をカーボンファイバーリサイクル工業株式会社と共同で岐阜に設置すると発表した。
CFRPは軽さと強度の高さを特長とし、鉄やアルミの代替品として、航空機の機体や自動車の車体などに活用されている。その一方で、年間1000トンに及ぶ廃材が埋め立てられるなど、殆どがリサイクルされずに廃棄されている。
研究グループは、日本が世界市場の約7割を占める炭素繊維の主要生産国であることから、再生技術の開発を責務ととらえ、この新技術がCFRPリサイクルを牽引することを期待している。
高効率にリサイクル
CFRPのリサイクル手法は、細かく粉砕した上で熱処理するため、高コストと粉塵による健康被害のリスクが課題となっていた。
「二段階過熱処理法」は、CFRPの樹脂分を熱分解ガス化する第一段階、発生したガスが熱処理の燃料に利用でき、燃料のコストを30分の1削減する。次に、残留した炭素分をゆっくりと「いぶし瓦」の技術で燃焼させる第二段階、この過程で炭素繊維を損なわずに回収できる。リサイクル炭素繊維は新品の約80%の強度をもつ。
廃材の粉砕は不必要となり、大きく長い形で処理された炭素繊維の強度実験を行いやすいため、リサイクルCFRPの品質を標準化が可能となる。健康への被害も低減される。
今後は、リサイクル炭素繊維の規格・標準化や作業環境・健康への影響をさらに研究し、実用化を進める方針である。自動車の軽量化部材やトンネルのひび割れなどの修繕・補強材、高速道路の防音壁などの応用を想定している。
(画像はプレスリリースより)
岐阜大学 プレスリリース
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