電気自動車市場投入で需要拡大
昭和電工株式会社は、リチウムイオン電池(LIB)向け正負極用導電助剤「VGCF(気相法炭素繊維)」の市場拡大に対応するため、川崎事業所の生産能力を、2017年末までに現在の年産200トンから年産300トンへと引き上げることを2016年8月9日に発表した。
LIB材料はスマートフォンなどの小型用途向けから車載用などの大型用途向けまで需要があり、中でも車載向けの需要が急速に伸びている。これは中国における電気自動車市場の増大に起因するが、欧州でもCO2排出量規制による市場投入の加速が見込まれている。
電池の劣化を抑制する働き
LIBは充放電の繰り返しで膨張・収縮する内に、活物質同士の接点を失っていく。VGCFは正極材、負極材のどちらにも添加される導電助剤であり、活物質同士をつなぐことで電池の劣化を抑制する。
繊維状のVGCFは粒子状に比べると分散性が高いため、少量でもLIBを高容量化、長寿命化することができる。また、電極からの放熱をその熱伝導性の高さで促進して、LIBの安全性を高める働きもある。
今回の生産能力増強は、LIB市場に同社の予想を上回る伸長が見られたことで決定したもの。同社は、需要動向をにらみながら段階的に増強を行うとし、2017年上期に250トンまで引き上げてから、同年末に完工する予定である。
昭和電工株式会社 ニュースリリース
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