農業廃棄物のバガスを活用
NEDOは、サトウキビの搾りかすから有用物質の製造システム実証事業を開始することをタイ王国の科学技術省国家イノベーション庁と合意し、基本協定書(MOU)を締結したと、2016年8月1日に発表した。
同国が主要なエネルギー源としている天然ガスの生産量はピークを迎えつつあり、今後、経済発展に即したエネルギーを供給するには、エネルギー源を多様化する、あるいは省エネルギーを促進することが求められている。
一方、同国は世界的なサトウキビ産出国で、サトウキビ搾汁後の搾りかすのバガスを大量に排出している。サトウキビ製糖工場内で一部が発電用に使用されるが、多くは未利用で集積されている。
NEDOは、バガスが食用にできない農業廃棄物であるため、トウモロコシなどの穀物由来のバイオエタノールと異なり、食糧用途と競合せずに原料となりえる点に着目した。
日本の膜分離技術で省エネ化
今回の事業では、セルロース糖の年間製造量1,400トン、バイオエタノールに換算すると700klの能力を持つ準商用規模のパイロットプラントで、サトウキビ製糖工場の余剰バガスを原材料にしたシステムの有効性を実証する。
糖液の水分を蒸発させて濃縮する従来の方法に対し、日本が開発した高分子膜技術を用いた実証システムは、熱を用いない濃縮により、バイオエタノールや高付加価値品の原材料となる有用物質(セルロース糖、オリゴ糖、ポリフェノール)の製造に50%以上の省エネルギー化を期待できる。
NEDOは事業での評価・検証を2022年9月までに終えた後、バガスを排出する事業者にこの技術を指導し、商用規模プラント1号機を竣工する計画である。さらに、タイ王国全土からサトウキビ産出国のASEAN諸国へと同技術の普及を目指していく。
(画像はプレスリリースより)
NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/