熱輻射の制御に着目
京都大学と大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)は、共同研究で、太陽電池が効率よく発電できる波長の光に熱エネルギーを変換することに初めて成功したことを2016年12月24日に発表した。
太陽電池は太陽光の波長成分の内、可視光線と近赤外線の境界付近の光しか効率よく電気に変換できないため、その発電効率が20%を超えることはなかった。
加熱された物質は様々な波長の光を放出(熱輻射)する。太陽光も熱輻射の一種。京都大学はエネルギー利用効率を向上させるカギは熱輻射の制御と考えて研究を進めた結果、中赤外線領域の単一波長に熱輻射を制御させることや熱輻射の高速変調に成功した。
大阪ガスは様々なエネルギーの変換・利用方法の研究に取り組む中で、熱エネルギーを有効利用するための熱輻射の制御技術に着目した。
特定の波長の光だけ放出
両者は2013年に共同研究を開始し、今回、高温時、太陽電池が効率よく発電できる波長の光のみ放出する熱輻射光源を実現した。これは半導体材料のシリコンを用いてフォトニックナノ構造を形成したもの。
この光源を太陽光の集光により加熱すると全ての光エネルギーを利用できる光に変換される。太陽電池では40%以上、燃焼熱などの熱源でも高効率な発電が見込める。
今後、両者は熱輻射を用いた発電技術の確立に向けて、共同研究を継続する。
(画像はプレスリリースより)
京都大学、大阪ガス株式会社 プレスリリース
http://www.osakagas.co.jp/