エコ効果のある窓に注目集まる
2010年3月に住宅エコポイント制度が導入され、窓の断熱改修が対象となったことにより、省エネ設備には窓が重要なポイントになっている。従来の省エネ住宅といえば、壁や屋根の断熱が一般的だったが、窓の断熱化も欠かせないポイントとなった。各メーカーでは続々と新製品を開発、販路拡大に傾注する方針だ。
エコ窓、各社の動向
今年10月、日東電工が窓用エコフィルムを開発。日差しを遮り、室内から熱が逃げるのを防ぐ効果のあるフィルムは冷暖房効率を高め、年間の電気代をおよそ3割節約できる。
また、名古屋工業大学セラミックス基盤工学センターの藤正督教授らの研究グループが、岐阜県関市のベンチャー企業「グランデックス」と共同で開発したフィルム「ナノバルーンシリカ」も話題になった。これは、光は95%通過させるが、熱は90%遮断するフィルムで、実証実験でエアコンの消費電力を30%削減したという。このフィルムは豊田通商がオフィスや工場、学校を中心に試験販売する。
経済産業省の窓ガラス表示のガイドライン
振り返れば2008年、経済産業省が住宅の開口部の断熱性能を一般消費者向けに表示する際のガイドラインをまとめた。窓、ガラス、サッシの断熱性能をそれぞれ4等級に区分して星印で表示するというものだ。
トステムやYKKAPなどの住宅用サッシメーカーでは、窓の省エネルギー性能の表示を今春から開始。サッシメーカーが自社のサッシと窓ガラスを組み合わせて、どれだけ断熱効果があるかを実証し始めたのだ。
2010年春にはYKKAPが、集合住宅や中低層オフィスビル向けの複層ガラス窓「EXIMA31」発売、ガラス間の空気層を12mmと、従来の倍にして断熱性能を高めることに成功した。この複層ガラスに全面改装した集合住宅では、年間の冷暖房費を約25%削減できたところもあった。
複層ガラス窓といえば今年10月、旭硝子も省エネ窓のリフォーム用エコガラス「ペヤプラス」のラインアップを拡充し、低価格の新製品を発売した。複層ガラスの間に詰めていたアルゴンガスを空気に変えることで低価格を実現、風圧に耐えられる素材を採用してビルのリフォームにも使えるようになった。
省エネ窓関連の販売を強化
省エネ窓への注目度が急上昇する中で、企業の動きも活発化している。旭硝子とトステムが業務提携し、これまでは別々だったサッシとガラスの開発に共同で取り組み、より断熱性能の高い製品を製造する方針だ。
このほか、日本板硝子では住宅向け高機能ガラスを増産、YKKAPがサッシとガラスを組み合わせて一体化した「窓」の供給体制を強化、不二サッシが省エネ型の住宅向け建材の販売体制を強化など、いずれも「窓」に力点をおいた経営戦略を展開している。
ECO JAPAN